なつかしい声。

真夜中に電話が鳴った。

「こんな時間に・・・」と思いつつ、受話器を取った。

「やっと繋がった」という声。聞いた瞬間に、誰かわかった。

低音だが丸みのある、よく響く声。35年前につきあっていた、彼女だ。

いつも事務方でシャットアウトされて、繋がらなかったという。

私は彼女と連絡が取れなくなってから、ずっと彼女のことを気にしていた。

連絡先だけは聞いておきたいと、メアドと電話番号を尋ねようとした。

そのとき。

家人から、夕食の準備が出来たという声が聞こえて、飛び起きた。

目覚めた瞬間、残念な気持ちとほっとした気持ちとが交錯した。

とうとう、彼女からの声が私に届いた。

だが、私の方からは連絡が不可能。これはまだ、安全ということなのか。

ちなみに彼女はある時期から消息不明で、大学時代に付き合いがあった女性陣も、今どうなっているか知らないという。

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